存在するものには全て原理・原則が有ります。
 その代表的なものとして知られているのが「孫子の兵法」であると思っております。
 「孫子の兵法」は、戦いと言うよりも、政治の要諦を記したものと言えるでしょう。
 であるが故に、今日、「孫子の兵法」から会社経営の原理・原則を読み取ろうとする試みがなされているのではないでしょうか。

 さて、発明にも、原理・原則が有ります。
 発明の原理・原則を更に探求すれば、発明の原理・原則は経営の原理・原則に似通っていることが判ります。
 しかしながら、この原理・原則を発明・知的創造の段階で考察することは、発明・知的創造をより容易に達成できると考えております。
 
 次に挙げる発明の原理は、ロシアのアルトシュラーによる約300万件の特許情報の分析・解析を基に、私なりに考えたものです。



(1) 置換の原理
  A+B→A+Y,X+B, B+A
              →X+Y
    ナイロン
    テトロン
    地下足袋


(2) 結合の原理
  A,B→A+B
     IC(集積回路)


(3) 分割の原理
 ・対象物を独立した小さな単位に分割
    A=A+A+…
    パケット通信システム
    電車


(4) 抜擢・除去の原理
 ・必要部分を抽出
 ・有害不要部や不純物を除去
    A+B→A
    超純水−半導体素子の洗浄
    超純鉄−錆びない


(5) 適材適所の原理
 ・局所的に最適な条件を局所的に採用
 ・対象の特性(重量・寸法・形状・温度・色彩…)を各段階で最適値に設定
    数値限定特許
    条件限定特許


(6) 部分解決の原理
 ・100%の解決が困難→部分的に解決
    第1段階(50%)
    第2段階(60%)
    第3段階(80%)


(7) 逆張りの原理
 ・従来と逆さにする

上⇔下
左⇔右
表⇔裏
縦⇔横
前⇔後
丸⇔角
大⇔小
+⇔−
硬⇔軟
剛⇔柔
凹⇔凸
動⇔静
加熱⇔冷却
清浄⇔汚染
ポジ⇔ネガ
 
−ネジ⇔+ネジ
魚の下に火力源⇔魚の上に火力源
在来線のレール⇔新幹線のレール
 
 

(8) バランスの原理
 ・浮力・揚力・重力・作用・反作用の物理的現象の利用
    船舶
    航空機
    飛行船


(9) 使い捨ての原理
 ・高価・長寿命→単機能・安価
    ボールペン
    使い捨てカメラ
    使い捨てカイロ


(10) 有害の原理
 ・有害な要素を積極的に利用
  ・毒をもって毒を制す
  ・災い転じて福となす
    ペニシリン(青黴)
    高周波誘導加熱−表面加熱→表面焼入れ
    逆位相の波を照射−消音・消波
    キノホルム(整腸剤) スモン薬害−アルツハイマーに有効?
    電子写真


(11) 事前保護の原理
 ・信頼性が低い対象に保護手段を併設
    ブレーカー
    エアバッグ
    各種の安全装置・警報装置
    分散通信システム


(12) 汎用性の原理
 ・一つの対象に複数の機能を持たせる
    ビデオカメラ


(13) 環境の原理
 ・環境を変更
    不活性雰囲気
    酸化性雰囲気
    溶液中


(14) スピードの原理
 ・有害作用・現象が発現する前に完了
    瞬間冷凍


(15) 先取りの原理
 ・予め途中まで完了
    ブラウン管の余熱
    即席ラーメン


(16) 非対称の原理
 対称なものを非対称に置き換える。

 オフセンターシャフト付き船舶
  (特許第1827211号)


(17) 曲線・曲面の原理
  直線・平面→曲線・曲面
    トンネル・ドーム構造
    ボール


(18) 他次元の原理
 ・平面から立体
 ・一段から多段
    半導体チップの実装  二次元から三次元
    立体駐車場


(19) 重層化の原理
 ・或る物の中に他の物を(入れ子)
 ・重ね合わせ・立体化
    フラーレンC60
    釣竿


(20) 振動の原理
 ・機械的振動を利用
    電子部品の超音波洗浄
    ショートケーキの超音波カット


(21) 間歇・周期の原理
 ・連続動作→間歇的・周期的動作
    釣鐘に周期的に力を印加
    振幅変調(AM)方式
    周波数変調(FM)方式


(22) 連続の原理
 ・同じ動作を連続的に行うことによって効率を向上
    回転パラボラアンテナ
    餅つき機
    ロータリエンジン


(23) 自己の原理
 ・対象物自体の動作を利用して補助作業や保守作業を実行
 ・対象物自体からの廃棄物・廃棄エネルギーを利用
    自動車・潜水艦の走行発電(蓄電)


(24) 材料の原理
 ・材料の物性を利用
    多孔質材料の利用
    複合材料の利用


(25) 薄膜の原理
 ・薄膜を利用
    鍍金
    安全ガラス


(26) 流体の原理
 ・気体や液体を利用
    蒸気機関
    油圧装置
    エアバッグ


(27) 色彩の原理
 ・色彩の変更
 ・透明・不透明の利用
    テープカセットのテープ端検出
    テープカセットのリールハブ


(28) コピーの原理
 ・現物利用が困難な場合には複写・模型(コピー)を利用


(29) 信号の原理
 ・機械的・電気的・光学的・音響的・物理的・化学的な信号を利用


(30) 磁石・電磁石の原理
 ・磁石(電磁石)の利用


(31) 均一化の原理
 ・対象物を同一材料で構成


(32) 予備の原理
 ・対象に生じる好ましく無い変化を相殺する為に変化と反対の変化を付与


(33) 位置の原理
 ・動作条件を考慮し、上下関係を設定

 
 
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